無形の力を身に付けよう

なかなか回復しない経済、大勢の人が吸い込まれていく大手町・丸の内の金融街、どうみても新卒としか見えない人たちが連れ添ってランチに行く「これからの人たち」の光景、金融機関の合併のニュース、…そんな景色や音に身を任せていると、ふと、金融という仕事について振り返りたいと思った。

僕が金融の門をたたいた理由は「経済を分析したい」ことにあったとに書いた。今、思えば自分本位な動機だが、若いというのはそういうものなのだろう。一方で、当時は、金融で働く人が輝いて見えたのも事実である。丁度、自由化の波が押し寄せ、そして何よりバブルの絶頂期であったことも無関係ではなかっただろう。

それから20年もの間、日本の経済はいまひとつの状況が続いている。その間、金融業界以外に身をおいたことはないから、他の業界と比較をするのは僕にとっては難しい。しかし、経済がいまひとつとは言っても、技術は格別に進み、グローバル化がモノだけでなく、資本もヒトも動かしてきたから、金融業界は絶えず変化に富み、それはこれからも廃れることはないだろう。

やはりこの業界は、資本と技術、そしてヒトによって支えられている。なにしろ工場やモノと言える商品がない。それゆえ、国境を容易に越え、水は高いところから低いところへあっという間に流れていく。その間に、さらに高い頂を見つけ、あるいは作り、サービスという形で世に出していく、そういうスピードの世界でもある。

それゆえに、時代を創るセンスが必要だと強く思う。何かを体系的に学んで、あるいは職人の域に達するまで繰り返し努力し、というやり方が駄目とは言わないが、金融業界でそういう生き方があるのならば、それは本流ではない。何かを組み合わせたり、変化を加えたり、見方を変えるといった、「工夫」が求められる職業ではないかと、20年の経験から思うのである。

それを「無形」の力と呼ぶことにしたい。これは、野村監督が「野村ノート」の中で書いていたことである。

「無形」の力を習得する方法はどこにも書いていない。いや、実は最近のビジネス書にはいろいろ書いてあるのだが、それを自分のものにするためには、普段の仕事での工夫、昨日よりも少しリスクをとって提案する勇気、いつも昨日より良い一日を過ごしたいとする欲、が効果的だと思う。

そこに、世の中のため、お客のためという視線が加われば、さらに深みを増すだろうが、若いうちは、自分本位でも良いと思う。ただし、同僚や上司と、競争にあけくれたり、自分のこだわりゆえに衝突することはエネルギーの浪費だと思う。


あなたが、一番輝いていると思える瞬間は何でしょうか?

その瞬間、どんな力が発揮されていると思いますか?「有形」でしょうか?「無形」でしょうか?

自分の強みを、伸ばすためには、何をしたら良いでしょうか?




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