経済物理学

先週の日経朝刊の連載ページ、「経済教室」と今でも言うのでしょうか、経済物理学の記事が何回か取り上げられていました。

企業の取引関係を分析し、「この企業がないと生産が成りたたない」という「ハブ企業」を割り出す話は大変面白い内容です。

こういう情報は、ある程度企業を取材したり分析すると分かるのですが、それを大量の企業や取引データに対して効率的に行うと、まだその価値が正当に評価されていない企業が見つかるものです。

一方で、こうした技術や発想を、新聞などに公開するということは、既に同じようなことを思いついてやっていることを示唆するし、公開した時点で真似する人が必ず出てくるから、投資の世界では、有効性が急激に落ちるということが出てきます。このあたりが、学会での研究成果と、実務での成果の異なる部分です。

分析をするということと、投資で成果を上げることは、一見同じように思えますが、実は全然違うという例だと思います。しかし、だからと言って、物理や数学的なモノの見方が否定されるものではないでしょう。


計量的なアプローチには夢が感じられないと僕は思います。

一方で、企業を丹念に調べ、経営者と何度も会い、それを世に紹介していく証券アナリストの仕事には、夢があると思います。ただし、企業が既に上場していたり、人気の銘柄にでもなっていると、夢を売る度合いは薄いのではないでしょうか。例えば、大型銘柄だから分析をしない訳にはいかない、有名企業間の相対価値をつけないといけない、と分析のスタンスが偏ってくるために、夢を追うのが難しいくなるのでしょう。

計量アプローチは、分析する企業のヒトや社長が抱く夢を代弁することはできないけれど、物事を大局的に見ることで、見逃されていた価値や価値評価のメカニズムを解明するという夢があると思います。それによって、価値を認めてもらえた企業は、夢がかなったと言っても過言ではないと思います。


経済物理学」という言葉は、新聞記事を読むまでは知りませんでした。本もたくさん出ているようです。昔から物理学は、経済の世界で既に使われてきましたが、最近の研究にはとても興味があります。夢のある研究、それが研究者の手にのみ残るのではなく、経済や企業に落ちていく夢のある研究は、どんなものがあるのでしょうか。




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